AndroidプロジェクトをEmpty Activityで作成してビルドしようとしたらいきなりビルドエラーになりました。ファイルが赤色になっていて最初から躓きましたのでビルドに必要な依存関係についてまとめたいと思います。
目次
プロジェクト作成時に出たエラーについて
1. Dependency 'androidx.activity:activity:1.10.1' requires libraries and applications that
depend on it to compile against version 35 or later of the
Android APIs.
:app is currently compiled against android-33.
Also, the maximum recommended compile SDK version for Android Gradle
plugin 8.1.3 is 34.
Recommended action: Update this project's version of the Android Gradle
plugin to one that supports 35, then update this project to use
compileSdk of at least 35.
Note that updating a library or application's compileSdk (which
allows newer APIs to be used) can be done separately from updating
targetSdk (which opts the app in to new runtime behavior) and
minSdk (which determines which devices the app can be installed
on).どうやら’androidx.activity:activity:1.10.1’を利用するにはAndorid APIレベルが35以上でコンパイルする必要があるらしく、現在はAPI レベルが33、Android Gradle Plugin 8.1.3ではサポートされている最大のcompileSdkは34みたいです。
他のエラーも同様でした。このプラグインはプロジェクト作成時にappの中に含まれているbuild.gradle.ktsに最初から定義されています。

登場人物について
iOSと比べてAndroidはかなり複雑に感じます。
Kotlinコンパイラバージョン
Kotlin言語のバージョンで言語機能や標準ライブラリの機能に影響しています。
Android SDK
実際のAndroidプラットフォームのAPIレベルで、新しいクラスやメソッドの利用に影響しています。先ほどのエラーを解消するにはこのAPIレベルを35にする必要があります。
Android Gradle Plugin(AGP)
Android用ビルドシステムをGradleに統合するプラグインでビルドシステムの心臓のようなものです。Gradleプラグインの一種でGradleにAndroidアプリやライブラリをビルドできる能力を追加します。

build.gradle.ktsに最初から定義されています。これがないとAndroid SDKを使ったビルドやAPK/AABの生成を行うことができません。
AGPはcompileSdkやtargetSdkなどを解釈し、Kotlinコードのコンパイル、APKやAABなどのパッケージの生成を行うためGradle本体やKotlinのバージョンと互換性を持つ必要があります。
互換性がない例
AGPはGradleのAPIを使ってタスクを登録したりするため古いGradleだと互換性がありません。また、Kotlinバージョンが新しいものだとAGPが古くてKotlinのクラスファイルを理解できなくなります。
そのためAGP8.5はGradle 8.7以降で動作するなどの組み合わせが決まっています。
Kotlin Gradle Plugin (KGP)
GradleにKotlinのコードをコンパイルするために必要なプラグインです。こちらもプロジェクト作成時にAGPと一緒にプラグインとして追加されています。プラグインの定義時にKotlinコンパイラのバージョンを一緒に指定します。
こちらもGradleバージョンやJDKバージョンが古すぎるとビルドできなくなります。また、トップレベルで指定したKGPのバージョンとモジュールで指定するKGPのバージョンが一致していないとビルドエラーが起きたりします。
Gradleバージョン
AGPと同じくらい重要なのがGradleバージョンです。
GradleはプラグインなどをJDK上で実行するため、JDKバージョンやプラグインであるAGP/KGPバージョンに依存しています。
JDKバージョン
JavaやKotlinプロジェクトをコンパイル・実行するための開発環境で、Gradle本体やKGP/AGPはJVM上で動作します。
こちらもJDKバージョンが古すぎたり新しすぎるとGradleとの互換性がなくビルドができなくなります。
各バージョンの設定方法について
Android SDKバージョンの指定
・build.gradle.ktsで指定
・File > Project Structure > Modules > app > propertyから指定

AGPバージョンの指定場所
・build.gradle.ktsで指定
・Project structure > Projectから指定

※KGPは指定場所がなさそうでbuild.gradle.ktsを利用する形になると思います
Gradleバージョンの指定場所
・gradle-wrapper.propertiesで指定
・Project structure > Projectから指定

Gradleバージョンはgradle-wrapper.propertiesファイルで指定されています。distributionUrlを差し替えることでどのバージョンのGradleを使うかを簡単に差し替えることができます。

JDKの保存場所
・/Library/Java/JavaVirtualMachines/jdk-17.jdk/Contents/Home
・Android Studioタブ > Build, Excution, Deployment > Build Tools > Gradle

インストールしたJDKを利用する場合はGradle JDKからAdd JDK from disk…からJDK保存先を選択します。
さいごに
AGPの利用できるバージョンはAndroid Studioのバージョンによって制限されるため、古いAndroid Studioを利用していると最新のAGPが利用することができなくなります。